飴村行のホラー小説「粘膜シリーズ」、ただグロいだけの本ではなかった。順番やあらすじ、感想など。

本

   

今回はグロホラー小説の代表作と言っても過言ではない、飴村行さんの「粘膜シリーズ」の紹介をしたいと思います。

粘膜シリーズとは以下の作品の総称となります。
刊行順も下記の順番となっております。ですが、あまり気にしなくてもよいでしょう。

・粘膜人間
・粘膜蜥蜴
・粘膜兄弟
・粘膜戦士
・粘膜探偵

ただ、最新作の「粘膜探偵」は読んだことがないので、今回の記事では省かせて頂きます。ご了承ください。

   

飴村行さんのホラー小説「粘膜シリーズ」。

グロ界隈ではなかなか有名なので、そういった物語が好きな人なら知っているかもしれませんね。

この本を買ったとき、私はホラー小説が読みたくて、レビューなどを拝見し気になった本はとりあえず買っていました。
その中の一つがこの「粘膜シリーズ」です。

ホラー小説のおすすめとして色々なサイトで紹介されていたため、楽しみにしながら読み始めたのですが、、、。

   

実は私、一度この本の内容が不快で読むのをやめてしまったんですよ。

やたらと詳細な拷問シーン

正直読みたくない、、、。

しかし、読むのをやめてから数か月、やはり買ったのだから読まないともったいない。しかも合本版を買ったから4冊分も無駄にしてしまう、、、。

そう思い読み始めます。するとどうでしょう。
一度読んだシーンだから慣れたのか、拷問シーンも読むことができ計4冊を読破することが出来ました。そして何よりも面白く、あっという間に読めてしまったのです。

特に二作品目の「粘膜蜥蜴」、三作品目の「粘膜兄弟」の二つが面白かったです。

一作品目の「粘膜人間」で止まらずに読んでよかった。
そう思わせてくれる物語でした。

  

グロホラー小説、粘膜シリーズとは

冒頭部分で軽く説明させて頂きましたが、粘膜シリーズとは

一作目:粘膜人間
二作目: 粘膜蜥蜴
三作目: 粘膜兄弟
四作目: 粘膜戦士 (短編集)
五作目:粘膜探偵

以上の五作品の総称です。
※「粘膜探偵」は未読の為今回は省きます。

どの作品も舞台は日本の戦時中のような世界。
ただ地球とは似て非なる世界です。

基本的には私たちの住む一昔前の地球と似たような文化です。
粘膜シリーズの世界には河童やトカゲ人間、到底人間とは思えない程の怪力と生命力を持つ人間など、ファンタジー的な要素があります。

ですが、ファンタジーだと思って読むのはやめたほうがいいでしょう。

それともう一点この本を読むにあたって気を付けた方がよい点があります。
それは

・グロテスクなシーンの多さ
・性的なシーンの多さ

になります。一言でまとめますと

下品な小説

ですね。

ですが、敢えてこのような作品にしているのでしょう。

正直、声を大にして人にはお薦めできない作品と言えます。
私も一度はグロいシーン、性的なシーンに疲弊して読むのをやめてしまいました。

でもそれを乗り越え、気が付けばこの世界観に魅了されている私がいました。

特に「粘膜蜥蜴」と「粘膜兄弟」の二作品はストーリーがとても濃厚で、続きが気になりどんどん読めてしまうのです。
作中には伏線が散りばめられており、これが一体どのように回収されていくのかとワクワクしながら読んだものです。

また 「粘膜蜥蜴」と「粘膜兄弟」 はラストが切なく、まさかこのような作品でこんな気持ちにさせられたことに驚きを隠せませんでした。

   

一作品目の「粘膜人間」はストーリー性は殆どありません。
「粘膜人間」 に関してのストーリーはグロテスクで性的な作品を表現するための、謂わば「おまけ」のようなものと感じました。
だから途中で読むのをやめてしまったというのがあります。
ですが、だからこそ「粘膜蜥蜴」を読んだ時、いい意味で裏切られました。

確かに「粘膜蜥蜴」も「粘膜兄弟」もグロテスクで性的な表現が出てきます。
しかし、それを上回るストーリーがあったのでスラスラと読めたのだと思います。

   

四作品目の「粘膜戦士」は初の短編集です。
今までの作品でわき役として出てきたキャラクターが主人公の話などもあり、前作を知っているからこその楽しみ方もできます。

また全作品を通して、物語とは直接関係のないような脱線した文章は殆どなく、テンポよく進んでいきます。

たまにあるじゃないですか。この物語にこの部分はどう関係してくるの?と思うような文章が長々と続く作品が。

そういう意味では非常に読みやすい作品だと感じました。

それと「粘膜シリーズ」は各作品に殆ど繋がりはありません。
同じ世界、同じ時間帯に進行しているような部分もあり、前作を知っていればより楽しめるのかもしれませんが、基本的にはどの本から読んで頂いても問題ありません。
気になる話から読んでみて頂ければと思います。


   

1作目:粘膜人間

粘膜人間あらすじ

-身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。

「BOOK」データベースより

※上の作品情報に「次兄の裕太は」とありますが、正しくは「祐二」です。

そもそも雷太は人間なのかと突っ込みたくなる体。
大人になったらどうなってしまうんや、、、。

こんなんに毎日暴力ふるわれたら、そりゃあ消えて欲しくもなりますわ。

上に書いたように、ストーリー性はあまりありません。
とにかく エロ とグロが書きたかったんだ!というような印象。
エログロに浸りたいという方にはお薦めです。


   

2作目:粘膜蜥蜴

粘膜蜥蜴あらすじ

国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた…。

「BOOK」データベースより

蜥蜴はトカゲと読みます。

今回の物語では「ヘルビノ」と呼ばれる種族が登場します。
頭部はトカゲ、体は人間でまさに「 爬虫人 」という名にピッタリの姿かたちをしており、今回の物語のキー的な存在です

主人公(なのかはちょっとわからないけど)の雪麻呂と深く関わっていきます。
また雪麻呂は上の作品紹介で「権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと~」とありますが、個人的には何だかんだでいい子という印象を持ちました。

確かにお坊ちゃんゆえの傲慢さはあるのですが、根はきっといい子なのだと思います。

母親の愛が感じられる切ない物語です。


  

3作目:粘膜兄弟

粘膜兄弟あらすじ

ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。待望の「粘膜」シリーズ第3弾。

「BOOK」データベースより

タイトルから想像できる通り、双子の兄弟の物語となります。
同じ女性を好きになってしまった兄弟、その結果が導く結末とは。

須川兄弟は、ヘモやんという七二歳のおじいちゃんと三人で暮らしています。
兄弟は「フグリ豚」という貴重な豚を売ることによって生計を立てており、ヘモやんはその「フグリ豚」の飼育係です。

そしてヘモやんは「フグリ豚」しか愛せないとんでも性癖の持ち主です。

正直かなり強烈なキャラクターなのですが、めっちゃいい人です。
それだけはまちげぇねえですぜ、旦那。

物語の中で不思議な現象がたびたび起こるのですが、まさかそういうことだったとは、、、。

思いもよらぬ結末が待っています。


   

4作目:粘膜戦士

粘膜戦士あらすじ

占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無垢な少年。陸軍省の機密書類を盗み出そうとして捕らわれた2人の抗日分子。そして安住の地を求めて山奥に辿り着いた脱走兵…。戦時下で起こる不可思議な事件。目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー。

BOOK」データベースより

こちらは短編集です。
前作のキャラクターの過去が語られている話もあり、前三作品を読んでいるとより一層楽しめる小説となっております。

ですので、できれば前三作品を読了してからこちらを読み始めることをお勧めします。


   

5作目:粘膜探偵

粘膜探偵あらすじ

戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した直後、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが…。軍部の思惑、昏々と眠る老女、温室で栽培される謎の植物、行方不明の少女ー。すべてが交錯する時、忌まわしい企みが浮かび上がる。暴力と狂気が渦巻き、読む者の理性を抉り取る最凶の粘膜ワールド、6年ぶりの新作!

「BOOK」データベースより

読んだことありませんが、一応。

若干推理ものの要素があるのでしょうか。

気になりますね。
粘膜ファンとして読まなくては。


   

「粘膜シリーズ」は人を選ぶホラー小説に間違いはないが、、、

   

以上、いかがだったでしょうか。

今回敢えて人には紹介しづらい小説の紹介をさせて頂きましたが、それはこの小説が本当に良い作品だと思ったからです。

ですが、人を選ぶ小説というのも紛れもない事実、、、。

少しでも気になった方には是非読んで頂きたいです。

ではでは